水島洋

既存のシステムに対し国民のアクセス権を付与する、という考え方もある。しかし、従来型の中央集権的なデータベースの仕組みだと、特定の管理者に全権を委ねることになり、コンセンサスを得にくい。国民自身が医療情報を自律的に管理可能な仕組みを構築することを視野に入れたら、ブロックチェーンへの期待は高い。 「医療情報を自律的に管理する」というのはどういう意味であろうか。「治療歴、検査結果、薬歴に加え、スマートフォンやウェアラブル端末で取得した心拍や運動量といった日々のヘルスケア情報などを自ら管理し、自分の判断で、それを主治医に提供したり、紹介先の病院などに開示したりすることができる」仕組みがそれに当たる。 このようなシステムにブロックチェーンを導入することの最大の強みは「透明性と安全性に尽きる。自分の医療情報にどの機関がいつアクセスしたのか、といったことが全て記録され、それをポータルサイトで確認できるようになる。そして、その記録自体、不正に改ざんが行えないので、国民も自分の医療情報を安心して預けることができるのだ。